エルメス・エヴリンの色移り|黒いコートでたった一度使ったバッグの実例
「たった一度しか使っていないのに。」
お気に入りのバッグに色移りが起きると、その変化の大きさに驚かれることがあります。今回ご紹介するのは、黒いコートを着用し、たった一度使用したエルメスのエヴリンです。
淡い色のバッグを持つときは、衣類からの色移りに十分な注意が必要です。大切な色と質感を守るために、最初に使う日から知っておきたいことを、実際の写真とともにお伝えします。あわせて、MIROIRCOAT専用溶剤の一つについて、摩擦や水に対する試験結果をご紹介します。
黒いコートと、たった一度の使用
写真のエヴリンは、黒いコートを着用した日に、たった一度だけ使用したものです。背面ポケットのフチや留め具まわりに、紫がかった色移りが確認できます。
色移りは、使用回数が少なくても起こり得ます。「まだ一度しか使っていないから」と安心せず、バッグと衣服が触れる場所を意識することが大切です。


色移りは落とせず、リカラーが必要になることも
一度起きた色移りは、拭くだけで元に戻せるとは限りません。状態によっては、クリーニングでも落とすことができず、元の色に近づけるために「リカラー」が必要になることがあります。
リカラーとは、色を補修したり、塗り直したりする処置です。色移りの程度や革の状態によって対応できる範囲は異なり、補修方法によっては色やツヤ、手触りに変化が出る可能性もあります。
そのバッグがもともと持っている色と質感を大切にするためにも、色移りが起きる前から予防を考えていただきたいと思います。
衣服との接触を、最初の使用から意識する
黒いコートや濃い色の衣類を淡色のバッグと合わせるときは、衣服とバッグが触れる部分に注意が必要です。肩掛けや斜め掛けで歩くと、背面などが衣服に繰り返し触れます。
エルメス公式のお手入れ案内でも、レザー製品やウェアは摩擦、汗、水分の影響で色や風合いが変化したり、接触したものへ色が移ったりする場合があると案内されています。
- 淡色のバッグは、濃い色の衣類との接触に気をつける。
- 雨や汗で湿った衣類が、バッグに触れ続ける使い方を避ける。
- 使用後は背面やフチ、留め具まわりの色の変化を確認する。
変化に気づいたときは、強く擦ったり、自己判断で溶剤を使ったりせず、購入店や専門店に状態の確認をご相談ください。
MIROIR COATのガラスコーティングで色移りを軽減
MIROIR COATでは、衣類などからの色移りを軽減するための予防施工として、ガラスコーティングをご案内しています。施工前には素材や表面の状態、カラーを確認し、普段の使い方も踏まえて、そのバッグに合う対応を考えます。
ただし、色移りを完全に防ぐことを保証するものではありません。施工後も、濃い色の衣類との接触や摩擦、湿気には十分ご注意ください。
ガラスコーティングは、これから起こり得る色移りを軽減するための予防施工です。すでに色移りが生じている場合は、まず現在の状態と、補修の必要性を確認することが大切です。
色移りの注意点は、MIROIR COAT公式Instagramでも動画でご紹介しています。淡色のバッグと濃い色の衣類を合わせる際の参考に、あわせてご覧ください。
専用溶剤の試験レポートで確認されたこと
ここで、MIROIRCOAT専用溶剤の一つについて、試験レポートの内容をご紹介します。レポート内の「青瓶」は、この専用溶剤を指す資料内の呼称です。以下は、2024年3月5日作成の「青瓶 摩擦試験、耐水試験結果」に基づく内容です。
11,000回の摩擦試験で、色汚染度4級
レポートでは、専用溶剤を施工した試験用皮革にデニム生地を擦り付け、色移りの程度とコーティング皮膜の耐摩擦性を評価しています。実施機関は、財団法人日本皮革研究所 分析センターと記載されています。
| 項目 | レポートに記載された条件・結果 |
|---|---|
| 試験対象 | 専用溶剤を施工した試験用皮革とデニム生地 |
| 試験方法 | JIS K 6547の革の染色摩擦堅ろう度試験方法を一部改良 |
| 荷重・摩擦回数 | 1cm²当たり80gの荷重をかけ、11,000回の摩擦を実施 |
| 色移りの評価 | 色汚染度4級(レポートでは「ほぼ汚れていない」と説明) |
| 塗膜の状態 | 割れ、剥離等の異常は確認されなかった |
11,000回という回数は、1日に10回の摩擦が毎日かかると仮定した3年分(10回×365日×3年=10,950回)を目安に設定されています。荷重は車のシートへの着座を想定した条件です。この回数設定は、バッグでの3年間の効果や耐久性を保証するものではありません。
今回の試験対象は試験用皮革とデニム生地であり、記事のエヴリンと黒いコートを組み合わせた試験ではありません。試験条件下での結果としてご紹介しており、すべての革や衣類で同じ結果になるとは限りません。
摩擦試験後の撥水状態と、耐水試験の結果
レポートには、11,000回の摩擦試験を終えた試験片に水をかけた写真も掲載されています。施工済みの試験片では撥水状態が確認され、塗膜が残っていると報告されています。写真は、撥水状態を見やすくするために、試験片の下にガラスを敷いて水をスプレーしたものです。
一方、別途行った耐水試験は、革の表側から水圧を加え、裏側へ水が通るまでの時間を測定するものです。レポート記載の試験方法はJIS K 6550、条件は口径50mm・水柱高さ80cmでした。結果は、施工あり・なしの双方で水を通さず、この試験では施工による耐水性能の差を確認できていません。レポートには、試験革片の厚さを変えて再試験する予定と記載されています。
表面で水を弾く「撥水」と、水が裏側へ通りにくい「耐水」は、確認している性質が異なります。撥水の確認だけでバッグ全体が防水になったとはいえませんので、施工後も雨や水濡れへの配慮は必要です。
出典:「青瓶 摩擦試験、耐水試験結果」(2024年3月5日作成)、1〜3ページ。試験方法・実施機関名・結果は同レポートの記載に基づきます。
大切なバッグの色を、これからも楽しむために
たった一度の使用で、バッグの表情が変わってしまうことがあります。だからこそ、最初に使う日から、合わせる衣服と、そのバッグに合った予防について考えていただければと思います。
これから使うエヴリンも、すでに愛用しているバッグも。大切な色と質感を、これからも気持ちよく楽しむために、色移りが起きる前のご相談をお待ちしています。
施工をご検討の方は、バッグ全体のお写真と、素材・カラー・使用状況を添えて、MIROIR COAT公式InstagramのDMからご相談ください。
コーティングのご相談:MIROIR COAT公式Instagram
ミロワールコート本店 近藤